最高の勉強法 / 安川 康介(2024)
人生は、学びと成長の繰り返しです。科学的に効率的な学習方法学びましょう。
最高の勉強法 / 安川 康介(2024)
- 効果の低い勉強法
教科書や参考書を繰り返し読む(再読法)効果が低いと言われています。ただし、数日~数週間の間隔をあけて再読することで改善します。教科書や参考書の内容をノートに書き写したりまとめたり、ハイライトや下線を引く学習法もその効果は疑問視されています。
2.効果の高い勉強法
「アクティブリコール(想起練習)」は、勉強したことや覚えたいことを能動的に思い出すこと、記憶から引き出すことです。一度学習したことを、思い出す作業、アウトプットする作業が、記憶の定着に効果的です。記憶から引き出す作業を重視して、インプット中心の学習からアウトプット重視の学習に切り替えましょう。筆者が行う白紙勉強法は、「ブツブツつぶやき教えるフリをしながら書き出す勉強法」です。① 覚えたことを元情報を見ないで書き出す → ② 忘れた部分は見直して確認 → ③ ①と②を繰り返す → ④ 時間をおいて①から③を繰り返す、
「分散学習(間隔反復)」は、一夜漬けのような集中学習と異なり、時間を分散して繰り返し勉強する方法です。同じ内容を間隔をあけて勉強するのです。間隔時間は、同じ学習時間では、集中学習より分散学習の方が効果的です。一例として、1回目1日後、2回目7日後、3回目16日後、4回目35日後、が最適とする報告もあります。
精緻的質問と自己説明は、頭の中で自分と自分が質問や会話をしながら、学習していく方法です。「精緻質問」は、勉強した内容に対して「なぜそうなっているのか(Why)?」「どのようにそうなっているのか(How?)」などと、自分自身に質問していく勉強法です。「自己説明」は、何かを学習している時に、学習者が自分自身に向けて、学習内容や学習過程の理解について説明することを指します。自分の思考や学習を客観的に見つめるメタ認知は、非常に有効です。
インターリービング(ランダム学習)は、似ているけれども異なった複数のスキルや勉強メニューのトックスを交互に学習する学習法です。知識を得る学習や運動スキルの習得に活用されています。最初は、「ブロック学習」である程度理解を深めてから、「ランダム学習」に切り替えると良いでしょう。模試や過去問に取り組むのは、ランダム学習の事例になります。
3.覚えにくいモノを覚える記憶術
「イメージ変換法」は、覚えにくいモノをイメージに変換する方法です。語呂合わせの事例では、「14」を石や医師でイメージ方です。ストーリー法は、覚えたいものをイメージに変換して、ストーリー(物語)としてつなげる記憶術です。
4.心・体・環境の整え方
「アカデミック・セルフコンセプト」は、学業に関する自分自身への認識です。過去の学業成績、教師、親、友人からのフィードバック、同級生との比較、他の強化との成績比較など様々な要因により形成されます。「自己効力感」を高めるには、達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねていくのが効果的です。また、「セルフモニタリング」という、自分の勉強の進捗状況を記録することも有効自己効力感の向上に有効です。大きな目標を、小さな目標に細分化して、自分の進捗を記録すると良いでしょう。「モチベーション」は、内発的動機づけと外発的動機付けに分けられます。好きだからやる、楽しいからやる、など活動自体が目的になるのが、内発的動機づけであり、外発的動機づけは、親に怒られないために宿題をやる、給料をもらうために働く、など行動の目的が外部にあるものです、より効果的と言われています。
「睡眠」は、健康や学習にとってきわめて重要なものです。私たちの脳が情報を覚えた後、記憶を安定させ長期記憶にする固定化は、睡眠中に促進されます。睡眠の質向上のため、スケジュールを固定化する、7時間以上の睡眠時間を確保する、定期的に運動をしてバランスの取れた食事をとる、睡眠前にはカフェインやアルコールを摂取しない、などを考慮しましょう。
「運動」は、健康や学習にとってきわめて重要なものです。中強度の有酸素運動(早歩きの散歩、ジョギングなど)では、1週間に150~300分程度、高強度の有酸素運動(ランニング、テニス、スイミングなど)では、1週間に75~150分程度、確保しましょう。運動は、認知症リスクの低減、認知機能の改善、総死亡率の低下、心臓血管疾患の死亡率低下、高血圧の予防、糖尿病の予防、睡眠の質改善などが報告されています。
未来のことを考えることも大切ですが、今目の前にあること、やるべきことにフォーカスして実行することが大切です。この小さな行動を積み上げることで、大きな結果につながっていくでしょう。