きみのお金は誰のため / 田内 学(2023)

・主人公は、偶然出会った男に、お金の真実について講義を受けます。

お金自体に問題を解決する力はない。お金の向こうにいる人が解決してくれる。人たちは、お互いを思いやり、自分の得意を活かし、ほかの人たちの問題解決に貢献することで、この社会が成り立っている、と教えてくれます。

男が話す、メッセージ「お金自体に価値がない」「お金で解決できる問題はない」「みんなでお金を貯めても意味はない」 この3つの意味を考えてみましょう。

きみのお金は誰のため / 田中 学(2023

1.お金自体に価値がない

・日本では、1873年、税金制度の導入(地租改正)が始まりお金が必要になった。政府が集めた税金を使うことでお金が循環し始めた。お金自体に価値はないが、税を導入したことで、個人目線でお金の必要性が生じたのだ。ここからお金という道具を使用してお互いに助け合う社会が形成された。

2.お金で解決できる問題はない

 問題を解決しているのはお金自体ではなく、お金を受け取る人々である。お金が商品に変わるのではなく、自然資源に無数の労働が結びついて商品が生産される。問題を解決してくれるのは、お金の向こうにいる人たちなのだ。人たちが、協力し合いムダをなくすことで経済が発展してきた。一人ひとりが社会というコミュニティーを形成している。

3.みんなでお金を貯めても意味がない

 年金問題を解決するには、少子化を食い止めたり、生産効率を上げなければいけない。みんながお金を貯めても将来の備えにはならないのだ。未来に向けて蓄えられるのは、社会インフラや生産設備、技術や制度など。お金は奪い合うことしかできないが、未来の課題は共有できる。

4.格差の謎

 豊かな生活を実現するモノやサービスを提供する人々が、お金持ちになっている。消費と投資のお金の流れによって未来が作られていく。投資されたお金自体ではなく、それを受け取り研究開発する人たちが未来を創造する。現代において、税金は支配者による搾取ではなく再分配に使われている。政府による再配分は、一人ひとりの投票行動によって、その方向性が決められている。

5.未来には贈与しかできない

 全体の預金が増えているのは、誰かが借金をしているだけ。借金する国が破綻するのではなく、人々が働かない国が破綻する。日本は、外国に依存する体質であり、外国にどんな価値を提供できるか考える必要がある。人から人への贈与、過去から現在への贈与、現在から未来への贈与が経済を発展させている。

6.僕たちはひとりじゃない

 働くとは、お金を稼ぐことではなく、誰かの役に立つこと。お金によって協力関係の幅が世界中に広がった。逆に、僕たちと感じられる範囲は狭まった。それでも、目的を共有すれば、僕たちの協力範囲は広がる。僕たちの範囲を広げるのは、未来を共有すること。そしてみんなが、人を愛し、愛されることだと考える。

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