DIE WITH ZERO / ビル・パーキンス（2020）

・人生最後の時、天国に持っていけるのは、「楽しい思い出」だけになります。資産を増やすことに捉われて、やりたいことを我慢する生活はやめましょう。たった一度の人生です。喜びにあふれた、素敵な思い出に包まれた人生を送りましょう。

DIE WITH ZERO / ビル・パーキンス（2020）

　自分は、何をする時に幸福を感じるか考えてみませんか。そして、その経験（体験）に時間と金を使うのです。心理学の研究で、人はモノより経験に金を使う方が幸せを感じることが分かっています。モノは獲得した瞬間の喜びは大きいが時間とともに薄れていきます。経験で感じた喜びは、時間の経過とともに高まるのです。

　人生は様々な経験の積み重ねであり、経験の豊かさが人生の充実度を図るものさしとなります。人生で最も大切な仕事は、思い出づくりと言えるでしょう。人は誰でも、思い出を通して人生の出来事を再体験できます。人生の最後に残るのは思い出だと言われます。時間と金をかけて何かを経験することは、その瞬間を楽しむだけでなく、生涯にわたり「思い出という配当」を受けることができるのです。

　自分の金と時間の使い方について、自分の意志で選択することが大切です。老後の備えは大切ですが、必要以上に貯め込むことや、金を使うタイミングを逃すことは避けて下さい。今の生活の質を犠牲にして、老後に備え過ぎるのは間違いだと思います。

　金は人生を楽しむ道具に過ぎません。皆さんは、富の最大化ではなく、人生の喜びの最大化を目指して下さい。人は人生の残り時間を意識すると行動が変わります。限られた時間をどう使うか真剣に考えることで、豊かな人生を歩むことができるでしょう。

　子供が親から資産を相続する年齢は60歳が平均値ですが、子供たちが受け取った財産を有意義に活用するタイミングとしては遅すぎます。どれくらいの財産を、いつ与えるか意図的に考え、自分が死ぬ前に与えましょう。人生の最大の目標は、収入や資産を増やすことではなく、幸福な経験とそれがもたらす永続的な思い出によって人生を充実させることです。金を稼ぐ（働く）ことと大切な人と時間を過ごすことは、トレードオフの関係ですが、最適な時間配分を考えましょう。

　人が人生を最大限に充実させる3大要素、「金」「健康」「時間」のバランスを考えてください。「健康」は経験を楽しむ能力に影響するので金より大切です。健康と金があり、経験を最大限に楽しめる年代で金を使いましょう。若い時代に健康に投資することは、人生の充実度を高めてくれます。「時間」も有限な資源であり、金より大切です。時間を作るために金を使うことは人生の満足度を高めるのに有効です。

　余命宣告された人たちの後悔で多いのは、「勇気を出して、自分に忠実に生きればよかった」「働きすぎなければよかった」です。人は、人生の終わりを意識すると、残り時間を有意義にする意識が高まります。「死ぬまでにやりたいことリスト」を書いて下さい。折に触れ見直し、追記・修正して下さい。そして、どの年代で行うか、大まかなスケジュールを書いて下さい。

　自分が所有している資産をリストアップしましょう。私たちは、人生のある段階で、やりたいことをやるために、純資産を取り崩していくことになります。

老後に必要な資金を計算する式は、

　　死ぬまでに必要な資金＝（一年間の生活費－年金受給額）×（人生の残りの年数）×0.7

人は、人生の最後を意識すると、人生を充実させようと考えます。「やりたいことリスト」を書き、ゼロで死ぬことを目指せば、人生を充実させ、たった一度の人生を価値あるものにできるでしょう。

理想像を描き追及すれば、人は正しい方向に進めます。今すぐ、人生を最大限に楽しもう。楽しい思い出を作ろう。子供たちに最適なタイミングで資産を分けよう。人生で最も大切なことは、「思い出を作る」ことなのです。