スタンフォード式脳と体の強化書/山田知生(2021)

・スタンフォード大学で、学生指導をしている山田さんから脳と体を最適化する方法を学びましょう

スタンフォード式脳と体の強化書 / 山田 知生(2021

1.ストレス・マネジメント

 脳は、ストレスを感じると情報のリレー(視床下部→脳下垂体→副腎皮質)をつなぎ、ストレスに対処する脳と体を整えます。何かに挑戦しようとする時に感じるのもストレスです。お腹がすくなど日常的に感じる小さな変化もストレスです。ストレスはゼロにできないし、ゼロにすべきものでもありません。ストレスと上手に付き合う、集中した後休憩を入れる等、緊張とリラックスのバランスを整えることで、自分の力を発揮して成果につなげましょう。

 自律神経は、脳から脊髄、脊髄から体中に張り巡らされた神経ネットワークです。自律神経には、緊張状態を作る「交感神経」とリラックス状態を作る「副交感神経」があります。日中は交感神経が優位に、夜間は副交感神経が優位になることで体のバランスが保たれます。息を吸う時交感神経が優位になり、息を吐くとき副交感神経が優位になります。現代社会は、交感神経が優位でストレスが多い社会です、息をしっかり吐ききることで副交感真剣を優位にしましょう。「IAP呼吸法」は、①鼻からお腹を膨らませるように息を4秒間吸う、②鼻からゆっくり6秒間かけて息を吐く、です。この呼吸法を5分程度毎日継続して下さい。短時間で心を落ち着かせたいときは、ゆっくり2回吸い、1回吐く、「スー、スー、ハー」を2~3セット繰り返しましょう。これで、副交感神経が優位になり、落ち着きと静けさがもたらされます。

 睡眠は、心身を休めるだけでなく、神経回路の調整や補強、新規増設を行っています。朝セロトニンとコルチゾールの分泌が上昇し日中がピークとなります。夕方からは、メラトニンが高まりスムーズな入眠となります。

 食事は、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素と、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく摂取しましょう。炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものですが、白い炭水化物は糖質比率が高く血糖値の乱交高下に注意が必要です。タンパク質は、アミノ酸に分解され、タンパク質に再合成され、筋肉など体をつくり、セロトニンなど神経伝達物質の材料になります。脂質は、過剰摂取をさけるため脂っこいモノは避けましょう。オメガ3(アマニ油、青魚)を積極的に取り、オメガ6(サラダ油、ごま油)は控えましょう。食事において、血糖値の急上昇を抑えるため、摂取の順番は、野菜→おかず(肉・魚)→主食(ごはん・パン)を意識しましょう。ビタミンやミネラルを摂取するため、緑黄色野菜、キノコ類、海藻を食べましょう。

 体をリカバリーするには、自分を観察することも大切です。毎晩、今日一日を振り返るライフログを推奨します。

2.最高のメンタルとボディを作りましょう

 「神経の可塑性」(脳内で神経回路が新たにつくられたり、より良く作り変えること)は、20代をピークに低下します。大人が脳を成長させるには、自主的な意思(何を学ぶ?なぜ学ぶ?)、集中(一日何時間、トータルの学習時間)、エラー対処と休息(エラーが起きたら修正して、適度に休む)が必要です。意欲を持続させるのは、DPO(D:Duration期間、P:Path通り道、O:Outcome結果)を明確にすることです。どれくらいの期間で、どういう道をたどり、どういう結果が得られるかというビジョンが見えることが必要です。

 ドーパミンは、最初の動機づけ、道半ばの高揚感、目標到達時の達成感に働きます。セロトニン系報酬は、うまくいかない時の振り返り、目標到達時の自己肯定感、目標到達後の急速で働きます。人間の集中力は長く続かないので、90分程度で、休息を挟むのが効果的です。休憩時間には、NSDR(Non Sleep Deep Rest)「眠ってはいないけど、それに匹敵する深い休息」が効果的です。NSDRを得るには、「マインドフルネス」「ヨガ・ニドラ(スリープヨガ)」が知られています。

 「ゾーン」や「フロー」と言われる状態は、行動が先で、その行動を思考が後から追認することになります。フロー状態を生む条件は、①明確なゴールがある、②自分の態度と行動をコントロールする、③その瞬間、瞬間を楽しむ、となります。

 マインドセットには、固定型と成長型があります。固定型マインドセットは、知識や能力は生まれつき備わったもので変えられないと考えます。成長型マインドセットは、自分の人生は自分でコントロールできると考え、知識や能力は、練習や訓練で高めることができると考えます。結果よりも努力やプロセスを重視するのでチャレンジを恐れないのです。

 部下や子供を成長型マインドセットにする方法:ゴールに向かう計画を立てたこと評価する、結果より努力とプロセスを評価する、できないのではなく「まだ」できていないだけだと指導しましょう。

 ゴールを目指すには、現在地を確認しましょう。スタート・ストップ・エバリェート・リスタート(始める・立ち止まる・評価する・再び始める)このプロセスを繰り返すことが重要です。ハイパフォーマーになるためには、①マインドを鍛える、②フィジカルを鍛える、③自分の中の専門スキルを高める、この3つが大切です。

 メンタルを強化するには、①気の置けない人や尊敬できる人と話す、②日々の気づきや学び、共感した言葉をメモする、③瞑想などで自己の内面と向き合う、が有効です。「感謝」の力を借りるとは、人に感謝する、人から感謝される行動をする、です。まわりの人たちの存在の大きさを実感し、そのおかげで自分があるという感謝の念は、根源的な安心感となります。自分行動が誰かに感謝されたと感じると、満足感が生まれます。小さな感謝を習慣化できれば、個人の成功と幸福感につながっていきます。

 今の自分のポジションは、過去の自分の努力の結果です。これからの人生でも、うまくいかない時、失敗することがあるでしょう。その時、なぜうまくいかなかったのか、次に失敗しないようにどうしたらよいか、を考え、計画を立て行動していきましょう。このような「成長型マインドセット」は、新しい価値を創造する能力につながり、あなたの人生はより良いモノになるでしょう。

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