やり抜く力(GRIT)/ アンジェラ・ダックワース(2016)
・ビジネスや芸術やスポーツで偉業を成し遂げた人を見ると、才能に恵まれた「天才」と思ってしまいますね。ただ、最新の研究では、天性の才能よりも「やり抜く力」の方が、大切だと分かりました。「やり抜く力」について学びましょう。
やり抜く力(GRIT)/ アンジェラ・ダックワース(2016)
1.やり抜く力(GRIT)とは?
・著者は数学の教師をしている時、数学の才能豊かな生徒の成績が伸びず、才能に恵まれない生徒が努力で成績を伸ばす現実を見て、その秘密に関心を持ちました。心理学者になってから、ビジネスパーソン、アーティスト、アスリート、様々な分野で活躍しているメンバーを調査した結果、成功者はやり抜く力(グリッド)が強く、情熱と粘り強さを合わせ持っていることが分かりました。
・才能は努力によってスキルが上達する速さです。そのスキルを活用して得られるのが成果です。これは、2つの式で表すと、成果を出すためには、才能より努力が大切だと分かるでしょう。 【才能×努力=スキル、スキル×努力=成果】
・やり抜く力は、遺伝だけでなく環境の影響を受けて成長します。最近の調査では、若年層より高齢層のグリッド・スコアが高い傾向がありました。人は人生経験を重ねるにつれ、自信を得て、誠実さや思いやりが増すためと思われます。人は、一生を通じて人格の成長、成熟が生じるのです。
2.やり抜く力を内側から伸ばす
・自分の好きなことを仕事にするのは成功の秘訣です。自分の好きな仕事をする方が、満足度が高まり、業績も高まります。ただ、若者には好きな仕事を見つけることが大変です。人には、新しいことを知りたい、学びたい、という欲求を持っています。まずは、自分自身が、興味のあること、大切なこと、重要なこと、を思い起こしましょう。そして、興味があることを掘り下げていきましょう。
・成功者は、素晴らしい技術や知識を身につけても、さらに上を目指します。ストレッチ目標を設定、努力を惜しまず目標達成、というサイクルを繰り返すのです。努力した結果が成果になるので、この達成感がクセになるのです。やり抜く力は、目的が明確だと強くなります。自分がすることが他の人々の役に立つと考えるとやり抜く力は強化されます。
・成長思考(人間は成長できる)を信じる者は、固定思考(人間は変わらない)を信じる者よりやり抜く力が強くなります。このマインドセットは、過去の経験と周囲の人々の反応が影響します。努力の過程をほめられた子供は成長します。子供の頃、困難を乗り越えた成功体験は大きな財産となります。
3.やり抜く力を外側から伸ばす
・賢明な育て方は、子供に厳しい要求をしながらも、支援を惜しまない育て方です。温かくも厳しく子供の自主性を尊重する親に育てられると、子供は親を手本とし、尊敬するようになります。ただ親の言いつけを守るのではなく、親の意図を納得して従うのです。親自身が、自分の人生の目標に対して、情熱や粘り強さをもって取り組んでいる姿を見せましょう。
・課外授業に2年以上、積極的に取り組んでいる子供は、学校の成績が良く、自尊心も高く、就業率が高く、収入も高いことが分かっています。青年期に、何らかの活動を最後までやり通すことは、やり抜く力を必要とするとともに、やり抜く力を鍛えることになるのです。
・人生という長距離レースで、成功するには、長期的な目標に向けた、やり抜く力(情熱×粘り強さ)が大切です。そして、やり抜く力は伸ばすことができるのです。天才の定義は、努力もせず偉業を成し遂げること、ではありません。不断の努力を重ねることで卓越性を極めること、と覚えましょう。
【まとめ】
・成功するためには、才能より「やり抜く力(情熱と粘り強さ)」の方が重要です。そしてこれは、本人やまわりの力で伸ばすことが可能です。自分自身やパートナー、子供たちのやり抜く力を伸ばすことを考えて見ましょう。