最強脳 / アンデシュ・ハンセン(2021)
「スマホ脳」がベストセラーになった著者が、脳を最強化する方法をわかりやすく教えてくれます。親子で学べる、分かりやすい「脳の取り扱い説明書」です。
最強脳 / アンデシュ・ハンセン(2021)
・私たちの祖先が、狩猟・採取生活していた時代、「生き延びるために良いことをする」とドーパミンがでて、気分が良くなる「ごほうびシステム」を獲得しました。食事をする、まわりの人と仲良くする、と気分が良いのはそのためです。獲物を追いかけていた頃の名残でしょう、体を動かし続けてもドーパミンがもらえます。
・当時の人類は、野生動物との対面など、生命の危険を伴う場面に度々出会いました。危険な場面では、扁桃体が警報を鳴らしコルチゾール(ストレスホルモン)が分泌され、心拍数が上昇し、体と脳が、「戦うか逃げるか」の体制を整える「警報システム」を手に入れました。現代の私たちも経験があるストレス反応です。
・扁桃体のストレス反応をコントロールするのが、海馬(記憶担当)と前頭葉(分析、思考担当)です。日常生活に「運動」を取り入れると、扁桃体を制御する、海馬と前頭葉が強化されます。コルチゾールの分泌も穏やかになり、ストレスに強い、落ち着いた人になれるのです。
・有酸素運動すると「集中力」が向上します。運動すると、脳が「今、自分は重要な狩りに出ているところ」と思うためでしょう。運動後、ドーパミンが分泌されて気分が良くなり、睡眠の質も向上します。
・「発想力」を高めるには、色々なことを学び(知識を増やし)、ほかの人と違った考え方ができるように脳を訓練することが重要です。定期的に運動をする人は、脳の血流が増えて脳の働きが良くなります。
・記憶は、初めに短期記憶として海馬に保存されます。重要な記憶と判断されると長期記憶に移されます。人の記憶容量は、1ペタバイト(百万ギガバイト)と言われますが、必要な情報が埋もれないように、海馬が取捨選択して不要な記憶は捨てて(忘れて)しまいます。運動をすると、海馬に多量な血が流れ海馬自身が成長し、脳細胞間のつながりを強化する物質がつくられ「記憶力」が向上するのです。
・人類の歴史を24時間で換算すると、23時40分農耕が始まり、23時59分40秒に産業革命、23時59分59秒にデジタル、インターネット社会になりました。狩猟時代に作られたごほうびシステムや警報システムは、飽食の現代ではミスマッチとなり、肥満や糖尿病、スマホ依存症など新しい問題が生じています。(スマホの弊害は、「スマホ脳」で解説します。)「有酸素運動」という優れた解決法を活用して新しい問題に対処しましょう。
【まとめ】
・私たちの祖先が生き延びるために獲得したごほうびシステムと警報システムは、急激な生活環境変化に対応できていません。脳を最強化するには、有酸素運動が効果的です。日常生活に運動を取り入れると、発想力、記憶力、集中力などあらゆる認知機能が向上します。また、気分が良くなり、睡眠の質も向上、ストレスにも強くなります。ぜひ、日々の生活に、散歩やジョギングなど有酸素運動を取り入れましょう。